ケイト・ブランシェット

最高峰よ

〜 「TAR ター」53

最高峰よ   旺盛な食欲でガツガツ平らげるオルガを、 ターは好もしそうに眺め、 ベルリンフィルが夢だったというオルガに 「最高峰よ」我が意を得た、とばかりうなずきます。 なにしろ「最高峰」の主席指揮者ですから。 やっと自尊心を満足させられたようです。 〜「TAR タ...

クララ・ツェトキンも

〜 「TAR ター」51

クララ・ツェトキンも   オルガはターの全く知らない名を挙げた。 「クララ・ツェトキンもこの店にきました」 「それはだれ? 音楽家?」 「ドイツの女性解放運動の先駆者です。毎年3月8日、 国際女性デーに、彼女の墓地に花を捧げています」 話が噛み合わない、というより音楽...

店を替えてもいいわ

〜 「TAR ター」50

店を替えてもいいわ   新人のオルガとの昼食。 ナポレオンやベートーヴェンも来た伝統あるレストランだが 「今どきのおしゃれなカフェに、店を替えてもいいわ」 キューリ・サラダが美味しいとか、店を替えてもいいとか、 ターはさかんに気を配っていますが、オルガは メニューから...

限界よ、私には明日がない

〜 「TAR ター」48

限界よ、私には明日がない   「PCがいかれた、あなたのを貸して」と ターがフランチェスカのPCを借り、 お茶を淹れにいかせた隙にパソコンをチェックした。 クリスタからのメールがぎっしり。 「すべてのオケに断られた」 「もう限界よ。私には明日がない」絶望を綴っていた。...

なら、焦らないで

〜 「TAR ター」47

なら、焦らないで   キッチンで夕食の支度をするシャロンに 「彼の言葉、引っかかる。小さな噂が大火事になる」 ターはイライラしています。 カミングアウトした時も「非難された」とシャロン。 セバスチャンは、元々頭の硬い存在だったみたいです。 「でもフランチェスカのことは...

彼女のせいだろ?

〜 「TAR ター」46

彼女のせいだろ?   移籍して指揮者として楽団を率いないかと ターがセバスチャンに打診する。ベルリンフィルの 副指揮者に充分満足しているセバスチャンは 「これは提案でなく、命令だ。 若い女がきて、私は長くないと直感した。彼女のせいだろ? あんたの彼女贔屓を、みな知って...

昨夜私の書斎に入った?

〜 「TAR ター」45

昨夜私の書斎に入った?   シャロンを学校に送っていくター。 「昨夜、私の書斎に入った?」と訊く。 「ううん」 夜遅く、ターはメトロノームの音に目を覚ました。 書斎に行くとメトロノームが規則正しく動いていた。 メトロノームの蓋には、シピボ・コニボ族の「卍」型の形象が ...

薬は?

〜 「TAR ター」44

薬は?   「薬は?」とターが話を変える。 「まだよ(教えてくれて)ありがとう」とシャロンは椅子を立つ。 ターはここで話を逸らさず、打ち明けておくべきでした。 ターの浮名は、やかましいことを言わないシャロンに 甘えていたからとも言えます。 シャロンもいまさら愛人の1人...