クリステン・スチュワート

LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

マローヤのヘビ

〜深読みアクトレス⑬〜

マローヤのヘビ ヴァルの車を二階の窓からマリアは見送る。薄闇の迫る部屋で、マリアは机に座り太い字で書く。「マローヤのヘビ」と。それを見つめる。自分が排斥し、毛嫌いするヘレナとは違うヘレナ像をヴァルは作っている。ヴァルの指摘は正しいのではないか。迷いが壁のようにマリアの前に立ちふさがる。この行き詰まりはなんだろ...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

「嫉妬ね」「嫉妬?」

〜深読みアクトレス⑫〜

「嫉妬ね」「嫉妬?」  シャツを脱ぎ、靴を脱ぎ、靴下を脱ぎながら「ベルンとそういう関係? つまり付き合っているの?」「彼を好きなの」とヴァル。「何よりだこと」とマリア。 ブラジャーとガードルだけになったヴァルが「嫉妬ね」「嫉妬?」笑いを含んだ声でマリアが訊き返す。「多分ね。わたしの若さや考え方や愛情に」「嫉妬...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

ひとりで平気?

〜深読みアクトレス⑪〜

ひとりで平気? 険悪になったと思ったらあっという間に元に戻っているふたり。山道を下りながら、ヴァルが「今夜、車、使わせて。ベルントがコモ湖に家を借りたの」ベルントとはヴァルの彼氏です。湖の岸に来て、いいあわせたように服を脱ぎ始める。「泳ぐ?」とも訊かない。テレパシーみたいなものが通じています。「ずいぶん遠いわ...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

じゃ、やめれば?

〜深読みアクトレス⑩〜

じゃ、やめれば? マリアの迷いは続きます。ヴァルのアドバイスも効果を発揮しそうにない。絶景のアルプスの山道を歩きながら、苦しげにマリアが言う。「演じるのが苦痛よ」「じゃ、やめれば?」ヴァルはあっさり肯定する。「だからやめるっていっているのよ!」ケンカ腰でマリアはヴァルに噛みつきます。マリアが口でなんといおうと...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

同意する、一瞬のためらいもなく

〜深読みアクトレス⑨〜

同意する、一瞬のためらいもなく 本読みを始めました。シグリッドのセリフをヴァルが読みます。シグリッドがヘレナの会社に面接に来たときの場面です。「あなたのことが気になる。うちに残って個人秘書になって」「同意しない」とヴァルはシグリッドのセリフを言い、「いえ、同意する、一瞬のためらいもなく」と自分に置き換えていう...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

全てシグリッドのために書かれてる

〜深読みアクトレス⑧〜

全てシグリッドのために書かれてる 女優の、というよりマリアのエゴが丸出し。自分がシグレッドを演じたときはそんなこと思わなかったのに、 ヘレナになったとたん、脚本がすべてシグレッド中心だと文句をつけている。シグレッドが「主」で、マリアが「従」。それが気にいらない。「そうは思わない」ここでもまたヴァルは反論します...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

彼女は敗北したのよ

〜深読みアクトレス⑦〜

彼女は敗北したのよ マリアは迷いと疑問を隠して自分を安心させるように断言します。「彼女(ヘレナ)は敗北したのよ。シグレッドに。年齢や不安感のために小娘のいいなりになったの」どっこい、ヴァルは「いいえ、それだけじゃない!」きっぱり否定する。ヴァルもまたマリアを愛している。「マローヤの蛇」の、女同士の心と愛情のあ...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

わたしより好きなの?

〜深読みアクトレス⑥〜

わたしより好きなの? マリアはグサッとくる。ヴァルはジョアンをいちばん好きな女優だという。「わたしより好きなの?」「いいえ、そんな意味じゃない」マリアは畳み込む。「わたしはつまらない? 型にはまりすぎている? 彼女の激しさがない?」マリアの語気の強さにヴァルはちょっとひるんで言い直す。「そうはいっていない」&...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

ジョアンのほうがワルよ

〜深読みアクトレス⑤〜

ジョアンのほうがワルよ シグリッドを演じるのは売り出し中の若手女優ジョアン。19歳。数々のスキャンダルにまみれながら、屁とも思わずのし上がってきた。ヴァルは「ジョアンのほうがあなたの18歳の頃よりワルよ」ジョアンの勢いをほのめかす。ヴァルの指摘がまちがったことはなかった。マリアはまだ「老いと若さ」という二項対...
LGBTシネマ365日別冊 1日3分「ゲイ映画のキメ台詞」

「惹かれたのね」「やめて」

〜深読みアクトレス④〜

「惹かれたのね」「やめて」 クリステン・スチュアートの登場です。24時間マリアと起居を共にする秘書ヴァル。マリアはゲイではないと表明しているけど、ヴァルに関しては微妙です。ヴァルは、マリアの心の中を全て読み取る。メフィストフェレスのごとく魔的ですらあります。ヴァルはマリアの過去の情事を聞きたがる。「マローヤの...