ひとりで平気?
険悪になったと思ったらあっという間に元に戻っているふたり。
山道を下りながら、ヴァルが「今夜、車、使わせて。ベルントが
コモ湖に家を借りたの」ベルントとはヴァルの彼氏です。
湖の岸に来て、いいあわせたように服を脱ぎ始める。
「泳ぐ?」とも訊かない。
テレパシーみたいなものが通じています。
「ずいぶん遠いわね」とマリア。
「車で2時間よ。6時に出れば明け方には帰れる。ひとりで平気?」
「ええ。山道の運転は気をつけて」
なんでもないやりとりですが、子供を気遣うような、
ヴァルの視点がよく出ています。
マリアのほうがそれに無頓着です。