ゲイ映画のキメ台詞

「ひとりで何してるの?」「別に」

〜アデル、なんてお前はいいやつだ⑧〜

「ひとりで何してるの?」「別に」たて込むバーで、アデルが入ることに気がついたのは青い髪のエマです。彼女は猫のように近づき、カウンターにいるアデルに話しかける。「ひとりで何しているの?」「別に」「珍しいタイプね。深夜にひとりでうろついている未成年」名前を訊かれアデルと答える。「素敵な名前」だといい、「私はエマ」美大の4年...

恋は性の垣根を越える

〜アデル、なんてお前はいいやつだ⑦〜

恋は性の垣根を越える明滅する光の中で、まあみごとに、年齢不問で男ばかり。ヴァランタンは水を得た魚のように、男友だちとはしゃいでいる。アデルのそばに全身タトゥーのおじさんがいて、「恋は性の垣根を越える、幸せならそれでいい、本物の恋なら」アデルはむせるような交歓の中にいて、ふしぎと嫌悪を感じません。ヴァランタンと別れ、外に...

「アデル、ぼんやりして…」

〜アデル、なんてお前はいいやつだ⑥〜

「アデル、ぼんやりして…」アデルはトマと別れました。同じクラスの女生徒がアデルに言い寄る。ま、ちょっとキスするだけですけど、トマとは全然ちがった快感にアデルはドギマギする。そのことばかり考えていたら、夕食のテーブルで母親が「アデル、ぼんやりして、どうしたの」心ここにない娘の様子に「いいことがあったみたいね」でもアデルは...

私に何か欠けている、私がヘンなのよ

〜アデル、なんてお前はいいやつだ⑤〜

私に何か欠けている、私がヘンなのよヴァランタンは同じ高校のアデルの友だちです。彼はゲイです。アデルは彼と気があい、何でもいう。トマと初めて寝たあと、辛くなって打ち明けた。「トマにウソついているみたいで、何もかも。彼の問題じゃない、私に何か欠けているの、私がヘンなのよ」「自分を苦しめるの、やめろよ」アデルはでもわかってい...

「600ページがなんだ!」

〜アデル、なんてお前はいいやつだ④〜

「600ページがなんだ!」トマはアデルに夢中だ。デートにこぎつけた。「何か食べよう」とトマ。「ケバブがいい」とアデル。ケバブはトルコやウイグル、中東を発祥とした、野菜や肉をパンに挟み込んだ料理。アデルは大きな口を開けてかぶりつき、熱心に咀嚼。トマは健康そのものの恋人をやさしく見つめ、「君は読書家か?」と聞く。「すごく」...

「おいしい」「もう少し」

〜アデル、なんてお前はいいやつだ③〜

「おいしい」「もう少し」アデルは両親と暮らす17歳の高校生。食べる場面が多く、アデルはすべてのシーンで実においしそうに食べます。このシーンでおかしいのは、母親が目を凝らして見つめている、父親も一心に何かを凝視する、何かというのは娘のアデルです。アデルの、パスタを頬張る壮大な食べっぷりに見とれているのです。「おいしい」と...

一目惚れという形をとることもある

〜アデル、なんてお前はいいやつだ②〜

一目惚れという形をとることもあるゲイ映画の傑作には「運命の出会い」と「一目惚れ」が多いです。「キャロル」もそう。「ジア」もそう。古典的なところでは「エマニエル夫人」「太陽と月に背いて」「バウンド」。すれちがったとき一瞬で、というのが「四角い恋愛関係」や「ミルク」。先生が生徒たちにいうのが上のセリフ。「彼らの出会いが定め...

私は女、これは身の上話ですもの

〜アデル、なんてお前はいいやつだ①〜

私は女、これは身の上話ですものケシシュ監督は冒頭にこの映画の性格をはっきりさせています。 一女性の身の上話であると。引用されている小説は「マリアンヌの生涯」、恋愛小説の名手といわれるフランスの作家、マリボーの未完の大作です。この映画はアデルというヒロインの身の上話である…。まずそれを頭に入れておきましょう。3時間があっ...

ガラだ、僕らは魂で結ばれている

〜美しき男子〜ロバート・パティンソン⑪〜

ガラだ、僕らは魂で結ばれている1929年、25歳のダリは、シュルレアリズム運動に加盟し、スタイルを確立していきます。ダリにとってもうひとつ、大きな出来事はガラとの出会いでした。詩人ポール・エリュアールの妻だったガラがカダケスにダリを訪問したのです。ダリは35歳のガラに恋し、ガラは正式にエリュアールと離婚、1934年ダリ...

「僕だよ」

〜美しき男子〜ロバート・パティンソン⑩〜

「僕だよ」「ロルカがいま取り組んでいる作品は衝撃的だよ」とダリがブニュエルに言う。ブニュエルはロルカの軸足が保守的で叙情的だと思っているから、「題材はなんだ、蝶か、家族か、神か」とかぶせる。「僕だよ」とダリ。ブニュエルはダリとロルカが愛し合っていることに気づく。「僕だよ」という答えは、いかにもダリらしく、しかも「衝撃的...