お金を預からせて
チェンチが大金を持って帰ってくる。
「どうしてそんな大金を」驚いてレオノーラが訊く。
「銀行よ」
月々の生活費を引き下ろしにいったのかもしれない。
しかし生活者としてのレオノーラの常識は
「そのお金を預からせて」という。もたせていたら危ない。
「いやよ。たとえあぶく銭でも」とチェンチ。
お金に関しては、チェンチは誰も信用していないのでしょうか。
それとも正気に返るのでしょうか。
どこまでが神経症で、どこからが正気か、レオノーラでさえ手がかりを
失いそうだ。子供の衣装のまま、夢の中を浮遊するような
ミア・ファーローが、ヒロインの不気味さを濃くしていきます。