アイナーの従妹です
ゲルダもアイナーも画家です。アイナーは風景画家として名を確立していましたが、
ゲルダの絵のスタイルは決まっていなかった。
才能はあるのに、決め手になる強さがない。
ゲルダはリリーをモデルに描いて画商に見せた。
「アイナーの従妹です」「すごく似ているな」
画商は、アイナーでありリリーである肖像画にミステリアスな魅力を認めます。
「売れるかもしれない」
ゲルダだけが知っている夫の秘密は、絵に込められたことで精彩を放ち、
息づき、「リリー」はゲルダの困惑をよそに、一人歩きし始めたのです。
(「リリーのすべて」 続きます)