飛ばせてあげて

飛ばせてあげて

 

ゲルダは故郷の海を見下ろす崖の上にハンスといます。

ハンスはアイナーの幼な友だちであり、アイナーがリリーに変わることに

不安と躊躇と、孤独を感じていたゲルダを支えました。

ゲルダがリリーにあげたスカーフを、リリーは最後まで身につけていました。

風に乗ってスカーフが舞い上がる。

ハンスが手を伸ばしたが、ひらひらと上昇する。「いいの、飛ばせてあげて」とゲルダ。

性のしがらみから解放され、自由となったリリーのようにスカーフは大空に、

海の上を飛んで行きました。愛おしそうに見送るゲルダ。

彼女こそ愛の人だった。ゲルダは一生リリーの肖像を描き続けました。

どうしてこの映画は「リリーの妻のすべて」じゃなかったの、監督。

 

(「リリーのすべて」 )

 

 

bn_charm