ご主人は精神病です
アイナーは医師の診察を受けます。
ある医師は「ご主人は精神病です」。
「ちがいます!」とゲルダは叫ぶ。
アイナーは普通の男性と異なっているかもしれない。でも精神は狂っていない。
ある医師は「分裂症だ」
ある病院では「性的倒錯である」として拘束しようとします。
アイナーはかろうじて逃走する。
誰も自分を理解しようとせず、受け入れてくれない。
彼は孤独だった。でも妻ゲルダのほうがもっと孤独だった。
夫は「女性」にのめり込んでいくことに歓びを感じている。
その歓びの中に、自分は入っていけない。
置き去りにされる寂しさがひしひしとゲルダをしめつけます。
(「リリーのすべて」 続きます)