さっさと出ていきな
亭主は閉口し「ガミガミいうなら出ていく」
「さっさと出ていきな。戻ってくるのじゃ、ないよ!」
出て行ったあと、娘のフィリスが帰り
「ママ、コンサートに行くの。お金貸して」
外にはボーイフレンドが4、5人待っている。
邪険に金を与える。
甲斐性のない亭主に遊びまわる娘。
ピアノに熱中する息子は店を手伝おうともしない。
疲れる。
ブレンダはカフェの外に椅子を出し、腰掛けて砂漠を見つめた。
何もない砂の土地のように、心が虚しい。
いつしか涙が頬を伝っていた。
〜「バグダッド・カフェ」〜