わかった
アニング化石店の入り口にシャーロットが看板を立てた。
「トカゲ類、翼竜、海洋生物の化石あります」
メアリーだけではこういう機転はきかない。早速訪問客があった。
メアリーが説明している。
「ヒレのある海トカゲ類の一部です。体長180センチ」
「素晴らしい。22ポンドでどうだ」
「採集した中でも最高です。話になりません」
奥でやり取りを聞いていたシャーロットが現れた。
「見事でしょう。その化石を手に入れるために
ミス・アニングが払った労力を思えばもっと高値がつくはず。
根気のいる長時間の作業で美しい化石が生まれるのです」
いきなり喋り出した。
「過酷な労働に加えて彼女の経験がものを言うのです。
未熟な者の判断では調査もされずただの岩の塊で終わります。
なぜ科学界は発掘に重きを? 化石は過去どころか現在も伝えます。
そこを考慮してお支払いを」
耳を傾けていた客は「わかった」。気持ちよく言い値で買った。
〜「アンモナイトの目覚め」〜