ここでお待ちを
現れたメイドは失礼千万です。
粗末な衣服のメアリーを上から下までジロリ。
「勝手口は裏よ。あっちへ回って」
「私はマーチソン夫人の客です」
態度が一変「アニング様? どうぞお入り下さい」
通された応接室は広々と、上質の家具調度が整い、
天井には豪華なシャンデリア。
見回すメアリーのそばにいつまでもメイドが立っている。
はたと気づく。彼女はメアリーの旅装のコートを受け取るため、
侍っていたのである。
「ここでお待ちを」。そう言って退室した。
〜「アンモナイトの目覚め」〜