行先はノアールムーティエ島

 

行先はノアールムーティエ島

 

唯一の理解者は妹のアガットだった。

もやもやした霧の中で手探りしている兄に

「兄妹水入らずの週末はどう?」と提案する。

「行先はノアールマーティエ島。あの人の命日に一緒に飲みましょ」

母と言わず「あの人」というのが耳障りだが

「パパに気兼ねせず思い出にひたれるわ」と、

妹は妹で兄を思いやっているのだ。

〜「ミモザの島に消えた母」〜

 

 

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