例えば生活費だ
「その僕だが、似たようなものだ」とランボー。
「そうだ」ともちろんヴェルレーヌは肯定する。
「だがどうして一緒にロンドンに来た」の問いに
「君(ランボー)にとっては通過の1つだろう。ここに沈潜して
やがて詩壇に高い地位を獲得する。
俺と暮らすのは理由のあることだ」
「どんな?」
「例えば生活費だ」 図星。
ランボーは凹まない。
「君の心は肉体同様、醜い」
ヴェルレーヌは帽子を取ってプイッと出て行く。
彼はフランス語を教えたりして細々と生活費を稼いでいるのです。
ありがとうも言えないのか、このエゴイスト、恩知らず。
詩人ってこうなのだというより、
出会った相手が悪かったとしか言いようがない。
〜「太陽と月に背いて」〜