アン、ごめんなさい
(しまった)とサラは思う。
機嫌を損ねて退室する女王の車椅子に追いつき
「アン、ごめんなさい」
女王は平手打ちを食わせる。
「いいのよ、打っても」サラはやさしく「走っていく?」
寝室へ、である。
女王は少女のようにうなずく。
サラの押す車椅子で宮殿の廊下を走りながら、女王は天真爛漫の笑み。
寝室には、本を探していたアビゲイルがいた。
天井まである書棚に身を潜め、アビゲイルは女王とサラの情事を知る。
最大の秘密をつかんだ。アビゲイルの悪の天使が翼を得ました。