白いお太鼓の端に太い筋が一本

 

白いお太鼓の端に太い筋が一本

 

時子のいでたちはとても大胆でした。

「奥さまは黒っぽい着物に、白い帯のお太鼓の端に、黒の太い筋が一本」

板倉の下宿先には、おじさんの囲碁仲間が来ていました。

「どこかで見た女だなあ」と首をひねる。

「どこだったかなあ」

二階では板倉の腕がふすまから出て時子を引きずり込みます。

首を突き出し階下に「おばさん、お茶はけっこうです」

誰も入ってくるなってことね。

逢瀬には赤が点滅し始めたのだけど。

 

(「小さいおうち」 )

 

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