家、それは深くえぐられた傷跡
パートナーを亡くし、自分は余命いくばくもない、
生きる力を喪失した主人公ルイが、自分の死が近いことを告げるため
12年ぶりに実家に帰る。
「恐れを抱きながらも僕はあの人たちに再び会おうと決めた。
人は様々な動機に突き動かされ、長い不在のあと、僕は決めた。
自分の来た道を戻ろうと。僕の死を告げるため。彼らに向かいあって、
最後に残していく僕という存在の幻想」
監督が「天才」が枕詞になっているグザヴィエ・ドランです。
彼の全ての映画がそうですが、セリフも映像もスタイリッシュで、
この映画でいえば冒頭の歌詞がピカイチです。
グザヴィエの作品は、歌謡映画かと思うくらい歌の使い方がうまいけど、
本作も代表作。「家、それは深くえぐられた傷跡」だなんて、
ルイにとって家は愛のホームではなく、完全アウェーであることを
ガッツリ納得させます。