マリオン・コティヤール

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私の家には心臓がない

〜たかが世界の終わり㉛〜

私の家には心臓がない   「私の家には心臓がない/ 血管もない/誰かが押し入っても 見えない血を流すだけ/私の脳には廊下がない/ 私の皮膚には壁がない/ここで人生を見失うこともある 家は希望の港じゃない」 厳しい歌詞でスパッとうちきっているところがシャープ。 …だから愛する人と巡り会い...

家は救いの港じゃない

〜たかが世界の終わり㉚〜

家は救いの港じゃない   グザヴィエ・マジックのひとつは、歌の使い方です。 オープニングとエンディングに流れる歌詞の心憎いこと。 全てがこの映画のキーワードといえます。 グザヴィエは歌から先に映画を作ったのでは、と思いたくなる。 歌詞の二つだけ、書きます。 ひとつは「家は救いの港じゃない...

午後4時

〜たかが世界の終わり㉙〜

午後4時   鳩時計が4時を告げます。 この映画は午後1時にルイがやってきて、4時に去るまで3時間の話です。 久しぶりに会う息子のために、精一杯おしゃれして待つ母親と妹。 初対面の緊張と期待でなかなかリラックスできない兄嫁。 防御そして攻撃本能ではちきれそうな兄。 それぞれが抱く異なる心...

会いに行ってもいい?ルイ兄さん

〜たかが世界の終わり㉖〜

会いに行ってもいい?ルイ兄さん   妹は、ルイが「遊びにおいで」と言ってくれたことが嬉しい。 「会いに行ってもいい、ルイ兄さん?」 子供の頃から、長男のアントワーヌは厳しくて、叱ってばかりいて けむたい兄だったけど、たぶんルイはやさしかったのでしょうね。 本を読んだり、詩を書いたり、黙って...

みんなに話がある

〜たかが世界の終わり㉕〜

みんなに話がある   とうとうルイが踏ん切りました。 「みんなに話がある。もっと何度も家に帰るよ。手紙を書く。 もっと長い手紙を。僕たちが失った時間を後悔しているから。 シュザンヌ、うちへ遊びにおいで。 兄さん、一緒に食事しながらさっきの続きを話そう。 たまには仕事を休めるはずだ」 よ...
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どうせもう終わりだ

〜たかが世界の終わり㉔〜

どうせもう終わりだ   ルイがしょぼしょぼと「どうせもう終わりだ」 「世界」「終わり」というキーワードが頻繁に使われます。 ルイという男性は、劇作家で、ハンサムで、ゲイで、世に認められた存在。 充分成功した人生でしょう? たまたまゲイであることが家族に受け入れられなくて、「ゲイ地区」に ...

なぜ俺ばかり責めるんだ!

〜たかが世界の終わり㉓〜

なぜ俺ばかり責めるんだ!   とうとう兄貴の不満が爆発する。 みなルイの肩ばかり持って、「なぜ俺ばかり責めるんだ!」 弟に殴りかかろうとし、かろうじて止められる。 ハラハラ見守っている女性たちにルイは 「次は大丈夫だから」 次なんてないのにそう言います。 ルイは生きる気力を喪失していま...

一緒にいても遠いんだ

〜たかが世界の終わり㉒〜

一緒にいても遠いんだ   「ルイは俺たちを必要としない。一緒にいても遠いんだ。不幸な奴だ」 兄貴はルイのいる場所が「ちっぽけな世界」で、そこにいて自分を 特別視していると思う。 自分を特別視したいのはルイだけに限らない、人は誰でも 自分は他人よりちょっと違う、違うところがあると思うことで ...