ゲイ映画のキメ台詞

自分が耐えられない

〜サンローラン⑫〜

自分が耐えられない   「目を閉じると服が軽々と舞っている。フォルムや色彩が舞っているんだ。 でも目を開けると息苦しさしか見えない。自分が耐えられない」 サンローランは追い詰められていく。 もっと他に楽しむことはないのかと、わたしのような 俗物は思うのですけど。 要は満たされないのです...

かわいそうなイヴ

〜サンローラン⑪〜

かわいそうなイヴ   モデル二人が撮影のためポーズをとっています。 一人は服を着て、一人は全裸です。 「ダーリン、イヴはどこ?」「知らない。香水の名前でしかないのかも」 サンローランがあまり姿を見せないので、サンローランなんて、 香水の名前じゃない? と彼のモード界からの消滅を匂わせてい...

イヴ、彼にのめり込むな

〜サンローラン⑩〜

イヴ、彼にのめり込むな   「イヴ、彼にのめり込むな」とピエールが忠告する。 サンローランの生活の乱脈を見かねた。嫉妬ではなかったでしょう。 ピエールはパートナーであるとともにブランド「サンローラン」の運営責任者です。 脛に傷のありすぎるサンローランは忠告を黙って聞くしかない。 ピエールは...
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慎み深さがとてもいい

〜サンローラン⑨〜

慎み深さがとてもいい   「君が喜ぶかと思って」ピエールが一枚の絵を持ってきます。 「有名な画家じゃないが、プルーストの寝室を描いた絵だ」 サンローランは一目見て気に入ります。 「慎み深さがとてもいい。部屋だけでなく、画家自身も。テーマから逸脱せず とても忠実に描いている。この絵の中に入...

ジャック・ド・バシュエールだ

〜サンローラン⑧〜

ジャック・ド・バシュエールだ   パーティで出会った男、ジャック・ド・バシュエール。 彼の危険な、野生的な男の匂いにサンローランは惹きつけられる。 彼はサンローランと一緒に夜な夜な、男たちのたむろする暗い街角を訪れ、 ドラッグをやり、セックスに耽る。 生活は荒廃した。ドラッグパーティでサ...

別の世界にいるのはあなたよ

〜サンローラン⑦〜

別の世界にいるのはあなたよ   母親は息子の本質を知っています。 「イヴ、別の世界にいるのはあなたよ」 「なぜそう思う?」 「現実世界とあまりにもかけ離れているわ。スーパーへも行かないし、電球も 替えられない」「替えなくてもいいものだよ」「切れたら?」 「ピエールが替える。いつだって」...

母さん、僕を愛してる?

〜サンローラン⑥〜

母さん、僕を愛してる?   お前の子供の頃の詩を見つけたわ、と母親が読んで聞かせる。 「君は幸せだ 全てを手にしている 富 美しさ 若さ  なんて素晴らしいことだ でも君はそんな人生に飽きた もう望んでいない」 サンローランが呼びかける。 「母さん」 そしてこれ以上やさしくはできないと...

夜、気分をくつろがせる薬も

〜サンローラン⑤〜

夜、気分をくつろがせる薬も   コレクションを控えると、緊張とストレスで眠れない。 医師の指示を受け、安定剤を服用するのですが、量が増えつつありました。 プレタポルテのアイデアはゼロ。焦りがつのる。 「夜、気分をくつろがせる薬を。飲むのはコレクションのときだけです」 医師は「お酒も控えて...

「出してくれる?」「開いてるよ」

〜サンローラン④〜

「出してくれる?」「開いてるよ」   ピエールがサンローランをクローゼットに閉じ込めた。 サンローランは暴れたり大声を出すような性格とはちがう。 しばらく静かにしていて「出してくれる?」と大人しく頼む。 「開いているよ」とピエール。 扉を開けたサンローランは何も来ていない。 彼にとって...

僕は33歳なのに100歳の気分だ

〜サンローラン③〜

僕は33歳なのに100歳の気分だ   ナイトクラブでサンローランはシャネルのモデルであるベティを 「僕の仕事をしてくれ」と直談判する。物腰こそ温和ですが有無を言わせない。 ベティはシャープな美人ですが、サンローランは容貌もさることながら、 自分の意図するムードのある女性が必要でした。 と...