僕は33歳なのに100歳の気分だ
ナイトクラブでサンローランはシャネルのモデルであるベティを
「僕の仕事をしてくれ」と直談判する。物腰こそ温和ですが有無を言わせない。
ベティはシャープな美人ですが、サンローランは容貌もさることながら、
自分の意図するムードのある女性が必要でした。
とにかくサンローランは仕事熱心でスタジオにこもり昼夜を問わず描く。
「僕は33歳なのに100歳の気分だ。もう老人だよ。人生を生きていない」
だから休むのかと思うと「スタジオに戻り仕上げをするよ。君は何を?」
ベティ「踊るわ」。サンローランはベティをおいて帰る。
サンローランには厭世的で浮世離れしたところがあります。
放っておいても彼は仕事をしますが、それだけだったらただの「描き屋」
だった。サンローランという名前と人物を世界のブランドにしたのが、
パートナーであるピエールでした。アメリカからの買収にも、サンローランが他の男に走った時も
ピエールは果断な処置でブランドを守り抜きます。
サンローランは才能に恵まれたこともさることながら、
ピエールという男性の愛と友情に恵まれたのです。