Diversity Studies

いうべきだった、待っていてと

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル34〜

いうべきだった、待っていてと「待っていて」そういうべき相手とはもちろんテレーズです。このセルフを聞いたときは、コソッと笑ってしまった。だって思わない? 永遠の夜明けだ、ヘチマだと、ややこしいことを書くより、「待っていて」と一言書くか、言うかしていれば、泥沼の係争だろうと何だろうと、それこそ「永遠の夜明け」を信じてどっち...

テレーズは?

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル33〜

   テレーズは?「耐えられない」と嘆くキャロルに、アビーは「テレーズは?」と尋ねます。キャロルにつける薬はテレーズしかないことがわかっている。パッと頭を上げたキャロルは「連絡あった?」性急に訊く。「ないわ」キャロル、がっくりして「1カ月以上前に電話があったけど」自分から何もいわず切ったのだから、だれにも、どこにも文句...

もう耐えられない!…

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル32〜

もう耐えられない!キャロルは最高に頭にきています。夫の実家が指示する、高名な精神科医のセラピーを受け(当時ゲイは病気とみなされていました)、昼食会では円満な夫婦を装う。うっぷんを聞いてくれる相手はもちろんこの人、親友のアビーです。「気取ったランチを何回やれば気がすむの? もう耐えられない!」 頭を抱えている。アビーはち...

キャロル、会いたいの、たまらなく…

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル31〜

キャロル、会いたいの、たまらなく…旅先で別れたきり、「連絡を取り合わないこと」になったから、キャロルがどういう状態にいるかテレーズにはわからない。親権の係争で、キャロルがたぶん最悪の状態にいることは察するのですが、それでも会いたくてたまらない。ひっそりと電話したら、受話器を取ったキャロルは無言のまま、切った。そもそもテ...

私たちの人生には永遠の夜明けが待つ

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル30〜

 

 私たちの人生には永遠の夜明けが待つキャロルがテレーズに書いた手紙です。詩的ですけど抽象的で、これじゃテレーズが「棄てられた」と思ったの、無理ないわね。よく読めばキャロルが書いているのは、緊急措置として一時的に距離をおくけれど、いつか事態が収拾したら迎えに行く、それまでは波風立たせたくない、今は性急に解決や説明を求めな...

「キャロルは?」「朝早く発ったわ」

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル29〜

  「キャロルは?」「朝早く発ったわ」 盗聴テープを手に入れた夫側は強気に出る。 キャロルは弁護士との打ち合わせのため急遽ニューヨークに 戻る。 残されたテレーズをアビーが迎えに来ていた。 「キャロルは?」「朝早く発ったわ」「戻ってくる?」 「いいえ」 置き去りにされたテレーズはショックで落ち...

あなたの気持を喜んで受け入れたのよ

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル28〜

  「あなたの気持を喜んで受け入れたのよ。いい?」 探偵の盗聴がわかってから、 落ち込んで車を走らせるキャロルとテレーズ。 無言のテレーズに 「なにを考えているの?」 とキャロル。 「…」 「何度同じ質問をさせるの」 とキャロル。 テレーズは泣き出し、一緒におれる嬉しさで旅行を...

5月17日は国際反ホモフォビアの日

1990年5月17日はWHO(世界保健機関)の精神疾患のリストから同性愛が削除された日です。フランスの活動家が「この日を同性愛差別に反対するきっかけとしよう」と呼びかけ、「IDAHOT(International Day Against Homophobia and Transphobia)=同性愛嫌悪とトランス嫌悪に...

ここ? ウォータールーよ

〜祝「映画史上最高のLGBT映画1位」キャロル27〜

  「ここ? ウォータールーよ。ひどい名前ね」 ベッドに肘をついたテレーズが、 窓辺に立ち外を見ているキャロルに訊く。 「なんていう町だっけ?」 キャロルは振り向き、微笑む。 「ここ? ウォータールーよ。ひどい名前ね」 ウォータールーには「挫折、失敗」の意味があります。 まさにふた...