男社会ね
店に来客がありました。
作業の手を止められるのがイヤで、「何か?」
メアリーは短く訊く。
「ロデリック・マーチソン」と男性は名乗りました。化石収集家です。
ロンドンの地質学会で高い評価を受けているメアリーに
会えて光栄だと尋常の挨拶をしますが
「男社会ね」。木で鼻をくくったような対応です。
「でも君の洞察力は伝説的だ」
「ロンドンの紳士方は私の採集物に飽きたのでは。
流行は終わったのでしょ」
「僕は流行遅れでね。ライムの女神にどうしても会いたかった」
そして「妻を紹介させてくれ」後ろにいた女性を振り返ります。
〜「アンモナイトの目覚め」〜