「これが最後なの?」「そうよ」
「今だから私を助けて」とキャロルが言う。
「いや」とアルマ。
「別れましょう。出てって。追ってくる気でしょ」
アルマ「頑張るのよ。耐えるのよ。私と一緒にいて。お願いよ」
感情がときに逆流するアルマをキャロルはよく知っています。
「彼と別れさせたらあなたは絶対、私を許さない。
私は心が広くないし、あなたを責め続け、必ず不幸になるわ。
あなたに殺された人として私は暮らしたいの。服を着て」
「これで最後なの?」「そうよ」
「この部屋をずっと借りるわ。失った親友を嘆くために」
アルマはおとなしく部屋を借りて恋人を嘆くような女ではない。
彼女の愛は抱き合い心中みたいなもので、
相手も無傷でおれない破滅愛です。
だから「私を助けて」とキャロルは言ったのです。
「彼と幸せに」「ありがと」アルマは部屋を出て行きました。
〜「ラ・ピラート」〜