マルーシュカ・デートメルス

私を撃って!

〜「ラ・ピラート」(31)〜

  私を撃って!   甲板にいるのは5人だ。アルマ、キャロル、夫、ナンバー5、少女。 アルマがキャロルに叫んだ。 「あんたは冷酷で下劣な人間よ。私を死なせたいの? 私を夫に渡す気? 2人とも最低よ。待っていたのよ。何もできないくせに」 どこかでキャロルに救われた...

もっと自由になるのよ!

〜「ラ・ピラート」(29)〜

  もっと自由になるのよ!   アルマは苦しんでいる、キャロルにはそれがわかる。 「汚れて不幸になってまで、カッコつけて。 もっと自由になるのよ」 キャロルにしたら自分への愛で板挟みになっているアルマが不憫だ。 ところがアルマは 「自由を望まないとでも思う...

わからない、私も知りたい

〜「ラ・ピラート」(28)〜

  わからない、私も知りたい   キャロルは、アルマの言葉は言い逃れのように受け取れる時がある。 彼女は思い切り激しく 「なぜ彼までここにいるの! それも私と。なぜなの?」と詰問する。 別れようといえば離れないと言う、愛しているといえばキライだという、 「ひどい...

道端に立つあなたを見たかった

〜「ラ・ピラート」(27)〜

  道端に立つあなたを見たかった   「何も言わず、何もしなかった」とアルマが口をきる。 夫とは何も会話せず、セックスもしなかった、という意味です。 「勝手に悩んでいるわ」。ジェーン・バーキンがニコリともせず言います。 「ひどい女よね」と、どうでもよさそうに言う。 ...

切り刻んで放り投げたい

〜「ラ・ピラート」(25)〜

  切り刻んで放り投げたい   アルマはホテルから逃走した。 キャロル、アルマの夫、ナンバー5、少女が後を追いフェリーに乗船する。 アルマの部屋を見つけた夫はベッドでアルマにすがり 「信じられない。君がこれほど俺を傷つけたいなんて。 俺の髪をなでつけてくれ。でき...

裁きの目で見て

〜「ラ・ピラート」(24)〜

  裁きの目で見て   「お酒を」とアルマが頼むので、ナンバー5と少女が運んできた。 少女を見て「彼女は何をしに?」とアルマが訊く。 初対面のような口ぶりです。 「私を見ているわ。あんな目をされるのはイヤ。 私が映っていないみたい。見るなら他人のように、裁きの目...