愛は存在しない
「愛だと?」ランボーは聞き返します。
「そうだ」「違うな」「どうして?」
「家族や夫婦を結びつけているのは愛じゃない。
愚かさやエゴや恐怖だ。愛は存在しない。
私欲は存在する。利益への執着は存在する。自己満足は存在する。
だが愛は存在しない。再創造が必要だ」
ランボーの言葉は既成概念への呪詛のようにヴェルレーヌに響く。
才能とは経験や学習もさることながら、
内面の燃焼度がもたらす凝縮ではないでしょうか。
30年で他の人の80年分を生きる人もいる。
ましてランボーの試作は20歳前に終わっています。
のちの17年は詩人としては余生だった。
本作のランボーのセリフは
短時間で燃え尽きる火花のように弾けています。
〜「太陽と月に背いて」〜