泣いて暮らすことないわ

泣いて暮らすことないわ

 

キャロル・アンが台所で泣いていた。

シチューにペッパーが入っていると言って亭主が鍋をぶちまけたのだ。

「俺が嫌いなの、知っていてやるのだな。嫌がらせか」

亭主の暴力にキャロル・アンの顔は青アザが絶えない。

「情けなくて」と泣く。

ヴィーダは痛ましげに見やり、「泣いて暮らすことないわ」とつぶやく。

心に期するものがある口調だ。ヴィーダは男らしい男なのだ。

 

(「 3人のエンジェル」 )

 

bn_charm