二度と会えなかった
ジャスミンは少女時代の女の子の話をします。
「すごく仲がよかった。一度だけキスした。
母親が見つけて二度と会えなかった。男性と恋愛しろといわれた」
「ママのいいなり?」とダラス。
「その通り」
なんでもない思い出話のようですが、ジャスミンはダラスに本当の自分を見せるのに抵抗もためらいもありません。自分は母親のいいなりであり、
世間が「よし」とするノーマル女性像にのっとって生きていくことにした、
婚約もし、結婚もする。ダラスから見たら強くもなく、鋭くもないかもしれないが、それが私なのと。
ダラスの雪だるまを作っている写真を
「フレームに入れて毎日眺めて楽しむわ」。実質別れの言葉です。
でも思い切れない。ダラスを、というより女性が好きだった自分をダラスは
水面下から引きずり上げたのですから。