剥き出しの孤独の上に
アガサとベンジーは元の家の焼け跡にいる。大量に薬を嚥下する。
「13回夏を過ごした。文句ないさ」と弟。「そうね。悪くないわね」と姉。
指輪をお互いの指にはめる。
「この指輪にて聖別され、わが夫に」「汝の夫に聖別されたり」
「この指輪にてわが妻に聖別されたり」「汝の妻に聖別されたり」
二人は寄り添い、横たわって空を見上げる。
エンディングに流れるのはこの詩です。
愛の在り方の多様性と、社会がはじき出した者の、あるいは自ら社会を棄てた者の孤独を交錯させ、
すべての人物が死にます。アガサとベンジーは自殺、
母親も自殺、父親は生死不明、ハバナは惨殺。
この映画は一見こともなく移ろう世間のどこかで、演じられているであろう精神の劇を、
孤独な詩情にまで高めたクローネンバーグの傑作です。
望まぬ不在の上に 剥き出しの孤独の上に
死の階段の上に 君の名を書く
戻った健康の上に 残された危険の上に
記憶のない希望の上に 君の名を書く
一つの言葉の力で人生を再開させる
私が生まれたのは
君と会い 名指すため 自由と
1ヶ月間、ありがとうございました。明日から新シリーズです。