だれも得しない

だれも得しない

 

教頭に報告するのは「年が明けてからに。せめてクリスマスは家族と

過ごしたい」とシーバはバーバラに頼みます。

バーバラはシーバを見つめ、「報告はしないわ」

シーバの表情がパッと明るくなる。

そんなことをしても「だれも得しない。あなたも、彼も、学校も」

ン、まあ。なんて大人の見解…と、

シーバは感極まって顔を伏せ、涙をかくす。

これはバーバラの本音でもあるわ。

彼女にしたらシーバをモノにするのが目的ですから、

報告なんかどうでもいい。バーバラは肝心な一言を口にしていません。

「だれも得しない。あなたも、彼も、学校も」そして「私も」

 

(「あるスキャンダルの覚え書き」)

 

 

bn_charm