気取りやがって

気取りやがって

 

「先日の店のソースだらけの料理はまいった」

バスタブに浸かりながらジョージが話している。

「ナイフとフォークは一組で充分なのに。ウェイターもハゲタカ

みたいに待っているし」

ジョージは高級なレストランより下町のパブのほうがいい。

社交家で取り巻きが好きなベイコンとはちがう。

「君とふたりだけがいい」

「わたしもだよ、ジョージ」ベイコンもそういうがどこまで本心か。

いや、本心ではあったでしょうが、基本的にふたりはちがいます。

 

(「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」)

 

 

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