死の虚空なのだ

死の虚空なのだ

 

ジョージとの関係は最悪に陥る。

ベイコンは穏やかな関係を維持する能力が、自分に欠落している

ことがわかっている。孤独はむしろ創作に必要な環境だ。

ジョージはちがう。安らぎやなぐさめや、和やかな関係の中で

一緒に生きていきたい。

ベイコンはジョージがうとましくなる。

「耽美には儚さが伴う。彼のほうけた顔に広がる虚空は

死の虚空なのだ」

不幸だったのはジョージが繊細な感性の持ち主だったこと。

「死の虚空? ワケわからんことは鏡みていえ!」

くらい言い返す神経なら、救われていたでしょうに。

 

(「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」)

 

 

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