死の虚空なのだ
ジョージとの関係は最悪に陥る。
ベイコンは穏やかな関係を維持する能力が、自分に欠落している
ことがわかっている。孤独はむしろ創作に必要な環境だ。
ジョージはちがう。安らぎやなぐさめや、和やかな関係の中で
一緒に生きていきたい。
ベイコンはジョージがうとましくなる。
「耽美には儚さが伴う。彼のほうけた顔に広がる虚空は
死の虚空なのだ」
不幸だったのはジョージが繊細な感性の持ち主だったこと。
「死の虚空? ワケわからんことは鏡みていえ!」
くらい言い返す神経なら、救われていたでしょうに。