「あげるわ」「ありがとう」

「あげるわ」「ありがとう」

夜、一人で歩いていたエリカを娼婦と思い、呼び止めた男の車に、薬漬けになった若い娘が意識もなく眠っていた。

エリカは車から娼婦を連れ出す。怒った男が轢き殺そうと追走してくる。

エリカは正面からフロントガラスを木っ端微塵にして男を射殺。

救急車を呼んで娼婦を保護する。

射殺犯に心当たりはないか。病院に収容された娼婦にエリカは面通しさせられる。もちろん娼婦はエリカの顔を覚えている。しかしネックレスに指を触れ、

「きれいね」とだけ言う。「あげるわ」とエリカは優しく娼婦の指を握る。

「ありがとう」

娼婦は刑事にいう「誰もいなかった、誰も見ていない」

 

(「ブレイブ・ワン」)