ペネロペ・クルス

火

堅気の仕事を見つけたわ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑨〜

堅気の仕事を見つけたわ ロサがやってきてマヌエラに言う。「あなたの堅気の仕事を見つけたわ。私に部屋を貸して」家賃を払うというわけね。「なぜここに住みたいの?」とマヌエラは訊く。「妊娠しているの」マヌエラは仰天。「どうする気?」「産むわ。ここなら騒がれないし」「父親は?」「ロラよ」マヌエラの息子、エステバンの父...

ニナはどこかしら?

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑧〜

ニナはどこかしら? ヘロイン中毒のニナが、クスリを買いに行って帰ってきません。開演が近い。マヌエラはウマを乗せ、車を運転してバルセロナの裏町を探す。売人と一緒のニナを見つけ車に押し込む。ニナは礼も言わずマヌエラを置き去りにして発車。なんでこんな女がウマの恋人なのだろうと思うが口には出さない。ニナはハナからマヌ...

ベティ・デイビスに憧れて

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑦〜

ベティ・デイビスに憧れて マヌエラはウマの楽屋に行きました。ウマはゲイで付き人兼女優のニナが恋人です。マヌエラをファンの一人だと思ったウマは取りとめのないおしゃべりをする。「ベティ・デイビスに憧れてタバコを始めたの。18歳でヘビスモ。だからウマ(煙)というのよ。タバコは私のすべてよ」「名声もあるわ」というマヌ...

犬が知っているよ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑥〜

犬が知っているよ ロサのお母さんは模写専門の絵描き。気むずかしく娘に打ち解けない。実の親子でもうまくいかない現実はあるのだと、アルモドバル監督は描きます。ロサの父親は認知症です。散歩に出て「道に迷ったらどうするの?」心配する娘に、帰り道は「犬が知っているよ」と冷めたお母さん。ロサは自分の家でなく「あなたの家に...

一緒におっぱいを作った仲よ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑤〜

一緒におっぱいを作った仲よ マヌエラはアグラードから、別れた夫であり息子の父であるロラの風評を聞きます。「ロラとは20年前パリで知り合い、一緒におっぱいを作った仲よ。ある晩ロラを泊めてやったら30万ペソと宝石を持ってトンズラよ。母さんがくれた聖母像まで消えていた。信仰心もないくせに、エクソシストでもやるのかし...

「アグラード?」「マヌエラ!」

〜オール・アバウト・マイ・マザー④〜

「アグラード?」「マヌエラ!」 もう一人、素晴らしい女優が登場します。娼婦たちが集う通称「野原」(カンポ)をタクシーで通りかかったマヌエラは、男にボコボコに殴られている女を見かける。放っておいたら殺される。マヌエラは車を止め大きな石で男の頭を殴る。闘牛の国、スペインです。女が怒れば牛より強い。血だらけの女は女...

お腹にエステバンがいた

〜オール・アバウト・マイ・マザー③〜

お腹にエステバンがいた 楽屋口から出てきたウマのサインをもらおうと、エステバンは雨の中、彼女の乗ったタクシーを追いかけ、車にはねられて死ぬ。マヌエラは息子の心臓を移植承諾書にサインしバルセロナに発つ。17年前バルセロナからここマドリッドに来た。一人ではなかった。「お腹にエステバンがいた」。その父親から逃げる旅...
火

母と二人暮しの少年の顔は特別だ

〜オール・アバウト・マイ・マザー②〜

母と二人暮らしの少年の顔は特別だ 息子の名はエステバン。作家を志す繊細な少年。17歳の誕生日のお祝いに、母親は「欲望という名の電車」を息子と観に行った。主演女優のウマ・ロッホは大女優だ。エステバンは母とふたり暮らしの少年の顔は「インテリか物書きのような顔」だと独り言を言う。何気ないセリフですが、エステバンの内...

僕のため、客を取る?

〜オール・アバウト・マイ・マザー①〜

僕のため、客を取る? 心に傷を負った人々が、人生を取り戻していくヒューマンな映画です。ペドロ・アルモドバル監督の代表作。綺麗事にならない励まし、誇張のないやさしさ、生き別れ、死に別れるつらい生のさなかにも、人生に向き合っていく人たちへの賛歌です。笑いながら涙ぐみ、涙するところで笑ってしまう。舞台はスペインのバ...