ゲイ

ぼくを愛しているか?

〜ふたりの詩人〜

  「ぼくを愛しているか?」 「ぼくを愛しているか」とランボーが聞く。 「もちろん」とヴェルレーヌ。 「では手を卓の上に。てのひらを上にむけて」 その通りにすると、ランボーはナイフをヴェルレーヌのてのひらに突き刺す。 ふたりが初めてあったとき、ヴェルレーヌはアブサンを注文した。 きれいな...

アブサン2杯

〜ふたりの詩人〜

  「アブサン2杯」 ヴェルレーヌがランボーの死後、妹のイザベル・ランボーと会ったとき。 場所は居酒屋。 イザベルの前に座ったヴェルレーヌが「アブサン」を注文する。 1杯運ばれてくる。 じゃ「アブサン2杯」はなに? これがね、せつないのですよ。 そのわけは、またあした。 ...

チャイナ・ブルー

〜愛しのヘンタイ/ケン・ラッセル〜

  「チャイナ・ブルーは?」 ケン・ラッセルさま、あなたは後世の映画ファンのために、よくぞこの映画を残してくれました。 主演がアンソニー・パーキンスとキャスリン・ターナー、監督があなた。 これだけで脳幹が妖しくなります。 パーキンスは牧師、ターナーは大銀行のキャリア・ウーマンにして夜は娼婦。...

男が女に望むのは抜群の体とセックス

〜愛しのヘンタイ/メアリー・ハロン②〜

  「性格のいい女はいない。男が女に望むものは抜群の体とセックスの要求に応じ、しゃべらないこと。性格がよく、アタマがきれ、ユーモアや才能のある女は決まってブスばかり。魅力のなさの埋め合わせだよ。」 メアリー・ハロンが「アメリカン・サイコ」で、女性監督ならでは、のセリフを男にいわせています。 主人...

むせび泣くようにささやく

〜愛しのヘンタイ/メアリー・ハロン①〜

  「カーミラはわたしをひきよせ、頬に冷たい唇を這わせながらむせび泣くようにささやく。あなたはわたしのもの…」 「アメリカン・サイコ」のメアリー・ハロン監督作品。 「アメリカン…」は「2」が作られるヒットとなった。 本作「モスダイアリー」の主役のひとり、サラ・ガドンはデヴィッド・クローネンバー...

「…なあに」「…別に」

〜キャロル⑩〜

  「…なあに」「…別に」 この映画は劇場で見て、DVDはまだ発売されていません。 記憶にある限りのセリフを、メモを起こして書いてきました。 もっとあったいいセリフや、魅力のある登場人物はまたの機会に譲りたいと思いますが、今回のおしまいはこれ。 キャロルは自分を裏切った、置き去りにした、でも...

そこで寝なくていいのよ

〜キャロル⑨〜

  「そこで寝なくていいのよ」 夫が放った探偵がキャロルとテレーズの一夜を盗聴したのがわかった。 離婚の係争で、娘の親権を手放さないために戦っていたキャロルは、夫側の弁護士が攻撃の的にする「妻の女性問題」で、決定的に不利になります。 テレーズは自分が軽率にも旅行を承諾したからだと自己嫌悪に陥る...

消さないで、あなたを見たい

〜キャロル⑧〜

  「消さないで、あなたを見たい」 全編の白眉はこのラブシーンだとしても異論の方は少ないと思われます。 自分が愛されていないのではないか、キャロルは自分をもてあそんでいるだけではないか、いつか自分を棄てるのではないか、そんな不安からどうしても自由になれなかったテレーズが、キャロルの愛を確信し、大...

でも今年はそうじゃない

〜キャロル⑦〜

  「新年はいつもひとりで迎えました。人ごみの中で。でも今年はそうじゃない」 キャロルは結婚に失敗し、むなしい日を送っている。 テレーズも自分の将来と、キャロルへの愛に不安を持っている。 旅に出た二人は大晦日の夜を迎える。 「夫婦で大晦日を過ごしたことはなかった。夫は接待とパーティーで家にい...

623号室、ミセス・エアード

〜キャロル⑥〜

  「623号室、ミセス・エアード」 テレーズとキャロルは初めて会って1か月になるかならないかのときに旅行に出ているのですね。 その短い期間に、若いテレーズが、キャロルの性格を的確に理解していることを、映画はきめ細かく映しています。 考え事をしていたら鍋を煮立たせてしまう、平気でドアを足で閉め...