ケイト・ブランシェット

日曜日にランチでもどう?

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」③〜

日曜日にランチでもどう? 男子生徒たちの教室での大騒ぎを一喝して取り鎮めたバーバラに、シーバは感激、日曜日のランチに招きます。バーバラの喜びようはいじらしいくらい。「なんて幸せ。空白のカレンダーに予定の旗が立った」美容院に行き、髪を染め直し、新しい服を買い、花束を携えシーバの家のドアをノック。シーバの父親のよ...

いったい、どういう女だろう

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」②〜

いったい、どういう女だろう バーバラの外観はさえない。染めた白髪の生え際がまだらに、服装もドブねずみ。シーバを見てこう思う。「いったいどういう女だろう」穴から獲物を伺う夜行性動物のように、バーバラの眼は鋭い。「ボロみたいなコートは最悪だ。でもあれは、私もあなたたちと一緒よ、というカモフラージュだ。本質は違う。...

あなたよ、私の分身の日記

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」①〜

あなたよ、私の分身の日記 ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットが真っ向勝負。見応えありましたね。ふたりの女性の執着がぶつかりあう狂気と愛の物語です。バーバラ(ジュディ・デンチ)はベテランの中学教師。教師としての スキルは充分、信頼できる相談相手として、誰もがバーバラに秘密を 打ち明けるが、バーバラには誰も...

「…なあに」「…別に」

〜キャロル⑩〜

  「…なあに」「…別に」 この映画は劇場で見て、DVDはまだ発売されていません。 記憶にある限りのセリフを、メモを起こして書いてきました。 もっとあったいいセリフや、魅力のある登場人物はまたの機会に譲りたいと思いますが、今回のおしまいはこれ。 キャロルは自分を裏切った、置き去りにした、でも...

そこで寝なくていいのよ

〜キャロル⑨〜

  「そこで寝なくていいのよ」 夫が放った探偵がキャロルとテレーズの一夜を盗聴したのがわかった。 離婚の係争で、娘の親権を手放さないために戦っていたキャロルは、夫側の弁護士が攻撃の的にする「妻の女性問題」で、決定的に不利になります。 テレーズは自分が軽率にも旅行を承諾したからだと自己嫌悪に陥る...

消さないで、あなたを見たい

〜キャロル⑧〜

  「消さないで、あなたを見たい」 全編の白眉はこのラブシーンだとしても異論の方は少ないと思われます。 自分が愛されていないのではないか、キャロルは自分をもてあそんでいるだけではないか、いつか自分を棄てるのではないか、そんな不安からどうしても自由になれなかったテレーズが、キャロルの愛を確信し、大...

でも今年はそうじゃない

〜キャロル⑦〜

  「新年はいつもひとりで迎えました。人ごみの中で。でも今年はそうじゃない」 キャロルは結婚に失敗し、むなしい日を送っている。 テレーズも自分の将来と、キャロルへの愛に不安を持っている。 旅に出た二人は大晦日の夜を迎える。 「夫婦で大晦日を過ごしたことはなかった。夫は接待とパーティーで家にい...

623号室、ミセス・エアード

〜キャロル⑥〜

  「623号室、ミセス・エアード」 テレーズとキャロルは初めて会って1か月になるかならないかのときに旅行に出ているのですね。 その短い期間に、若いテレーズが、キャロルの性格を的確に理解していることを、映画はきめ細かく映しています。 考え事をしていたら鍋を煮立たせてしまう、平気でドアを足で閉め...

スイートにすれば? 割安なら

〜キャロル⑤〜

  「スイートにすれば? 割安なら」 離婚係争中のキャロルは娘の親権でこじれ、最愛の娘を、手放すことになるかもしれない不安でいたたまれない。 動揺をまぎらすように、旅行にテレーズを誘う。 「よかったらいっしょに行かない?」 テレーズはまっすぐキャロルを見て「ぜひ」短く答える。 ルーニー・マ...

キャロルへ。テレーズより。

〜キャロル④〜

  「キャロルへ。テレーズより。」 キャロルが好きでたまらないのだけど、キャロルは自分をどう思っているかわからないことが、テレーズを不安にさせています。 キャロルとテレーズはひとまわり以上年齢がちがいます。 キャロルの成熟度に比べたら、テレーズはコドモに近い。 世慣れた受け応えや、感情の表し...