いったい、どういう女だろう

いったい、どういう女だろう

 

バーバラの外観はさえない。染めた白髪の生え際がまだらに、

服装もドブねずみ。シーバを見てこう思う。

「いったいどういう女だろう」

穴から獲物を伺う夜行性動物のように、バーバラの眼は鋭い。

「ボロみたいなコートは最悪だ。でもあれは、私もあなたたちと

一緒よ、というカモフラージュだ。本質は違う。妖精のように、

どこか現実離れした女だ。謎めいているのか、愚かなのか。

澄んだ声をしている。きっと虫歯もゼロに違いない」

なめまわすような観察力に、怖気づいてはおれない。

バーバラの本領発揮はまだまだこれから。

 

(「あるスキャンダルの覚え書き」)

 

 

bn_charm