いったい、どういう女だろう
バーバラの外観はさえない。染めた白髪の生え際がまだらに、
服装もドブねずみ。シーバを見てこう思う。
「いったいどういう女だろう」
穴から獲物を伺う夜行性動物のように、バーバラの眼は鋭い。
「ボロみたいなコートは最悪だ。でもあれは、私もあなたたちと
一緒よ、というカモフラージュだ。本質は違う。妖精のように、
どこか現実離れした女だ。謎めいているのか、愚かなのか。
澄んだ声をしている。きっと虫歯もゼロに違いない」
なめまわすような観察力に、怖気づいてはおれない。
バーバラの本領発揮はまだまだこれから。