ゲイ映画のキメ台詞

秘密の部屋

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」⑩〜

秘密の部屋 「快楽の館に足を踏み入れたわたしは、世間並みの愛を交わす部屋にはとどまらず、秘密の部屋に入っていき横たわった。口にすることさえ恥とされる秘密の部屋。わたしはそんな恥とは無縁だ。そうでなくてだれがアーティストになれよう」ベイコンの芸術家としての自負がみなぎっています。でも、ちょっと大げさな気がするけ...

ジョージは特別だ

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」⑨〜

ジョージは特別だ いくら20世紀最大の画家だとしても、どうにも好きになれないのがフランシス・ベイコンでした。肉塊、恐怖、苦痛、歪みに歪んだ肖像、どの絵も快適さを拒否し、もし部屋にかけておけば悪夢になりそうな絵ばかりです。ベイコンはきっと複雑きわまりない人物だったのでしょう。そんな彼がジョージをこういいます。「...

どう見てもいかれた連中だ

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」⑧〜

どう見てもいかれた連中だ 「最近どうしている」とジョージは古い友人たちに聞かれる。「ベイコンの手伝いをしている」「あの手の連中には気をつけろよ、ジョージ。人種がちがう。 どう見てもいかれた連中だ。用がすんだら。ポイと捨てられるぜ」 あの手の連中という言い方がゲイに対する世間の警戒を 露骨に示しています。「心配...

気取りやがって

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」⑦〜

気取りやがって 「先日の店のソースだらけの料理はまいった」バスタブに浸かりながらジョージが話している。「ナイフとフォークは一組で充分なのに。ウェイターもハゲタカみたいに待っているし」ジョージは高級なレストランより下町のパブのほうがいい。社交家で取り巻きが好きなベイコンとはちがう。「君とふたりだけがいい」「わた...

あんたは自分しか愛せないんだ

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」⑥〜

あんたは自分しか愛せないんだ 「あんたは自分が可愛いのさ、自分しか愛せないんだ」ミュリエルは写真家のディーキンを吊るし上げている。彼は嫌われ者らしく、客たちが「クズめ」と容赦なく罵る。「あんたは空間の無駄なのよ、ヒトラーよりケチだよ。人にたかって自分の金を出さない」とミュリエル。絵描きや写真家が集まる酒場のワ...

君といると新たな力が湧いてくる

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」⑤〜

君といると新たな力が湧いてくる ベイコンはジョージに新しいモティーフを見出します。けれど彼の言葉は辛辣で、残酷です。「君はモティーフになるよ。箸休めのシャーベットに似ている。たまには苦いこともあるが」泥棒出身の、ロクでもない男だという前提でベイコンはジョージを見ていますから、全て上から目線です。「箸休め」だな...

続いているならなお不幸さ

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」④〜

続いているならなお不幸さ ゲイの芸術家たちがたむろするミュリエルの酒場。女主人ミュリエルが誰あろう、ティルダ・スウィントン。客に遠慮なく食ってかかり、彼女の毒舌と客の応酬で店はいつも騒々しい。「人の色恋にケチばかりつけていると、墓穴を掘るよ」とミュリエル。「不幸なオカマの恋人たちをあんたの番組に呼ぶといい」と...

絵で食ってるなんて想像つかない

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」③〜

絵で食ってるなんて想像つかない ジョージは泥棒稼業で見すぎ世すぎしてきた。おそらく学校もろくに 出られず、絵画だ、美術だという世界とは無縁。ベイコンは絵に無関心なジョージに惹かれる。「彼はあらゆる男の凝縮である。彼の存在は際立っている」仲間内のニーチェとまでいいかけ、とにかくジョージが気に入ったのだ。でもこれ...

ベッドにくれば欲しい物をやろう

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」②〜

ベッドにくれば欲しい物をやろう ベイコンのアトリエの天窓から落ちてきた泥棒がジョージです。大きな音にベイコンが起きてくる。覆面をして貧しい衣服。物盗りだとすぐわかる。「マヌケな泥棒だな」一瞥したベイコンはこう続ける。「服を脱げ。ベッドにくれば欲しいものをやろう」ベイコンの顔にはうっすらとファウンデーション、紅...

洞察と痛ましい美の結晶

〜「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」①〜

洞察と痛ましい美の結晶 パリ、グラン・パレでフランシス・ベイコンの展覧会が開かれた。   ターナー以来初のイギリス人画家、現代美術の旗手、フランシス・ベイコンの仕事の集大成と大々的に報道された。ベイコンの描く人物は洞察と痛ましい美の結晶だとテレビのアナウンサーが紹介しています。この映画の主人公はもちろんベイコ...