ゲイ映画のキメ台詞

やめて、ママ

〜君の名を書く…「マップ・トゥ・ザ・スターズ」③〜

やめて、ママ ハバナは中年にさしかかり、女優の岐路にあります。いい役が欲しい。母親が主演した「盗んだ水」が再映画化される。どうしても母親が演じた主役を取りたい。しかしハバナには名優だった母親を超えられないという恐れと、母娘の秘密があった。ハバナは精神科医ワイスのセラピーを受け、母親のプレッシャーから逃れようと...

昔ベンジー・ワイスの家があった

〜君の名を書く…「マップ・トゥ・ザ・スターズ」②〜

昔ベンジー・ワイスの家があった アガサは運転手のジェローム(ロバート・パティンソン)に車を止めさせます。焼け跡です。「ここに昔ベンジー・ワイスの家があった」この映画の主たる登場人物はアガサ・ワイス。火傷の跡のある18歳の女性。ベンジー・ワイス。アガサの弟。子役。スタッフォード・ワイス博士。セレブを顧客に持つ精...

アガサ・ワイスよ

〜君の名を書く…「マップ・トゥ・ザ・スターズ」①〜

アガサ・ワイスよ 見るも忌まわしいものを見せ、語るもおぞましいものを語るデヴィッド・クローネンバーグ監督。作品群を、「スキャナーズ」や「ヴォデオローム」「イグジステンス」などのヴァーチャルリアリティ。「怒りのメタファ」や「ザ・フライ」の異形の世界、そして本作や「クラッシュ」「エム・バタフライ」の性的マイノリテ...

あら、私がいるわ

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」㉚〜

あら、私がいるわ 「アナベル、音楽は好き?」バーバラが話しかける。「好きよ」「お友達とどうぞ」バーバラは音楽会のチケットを差し出す。「友だちはいないの」「あら、私がいるわ」うう〜む、そうくるか。バーバラのエキセントリックな性格では接近禁止命令、再び、かも。バーバラは、ラブロマンスからかけ離れたゲイ映画のヒロイ...

恥さらしなシーバ

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」㉙〜

恥さらしなシーバ バーバラはお気に入りの、小高い丘のベンチに来た。若い女性が新聞を読んでいる。裁判所を出るシーバの写真にデカデカと「セックス教師に10か月の実刑」「恥さらしなシーバ」の見出し。バーバラは声をかけた。「その写真の女性、知っているわ」「まあ。どんな人だったの?」「同じ学校の教師だったの。かなり冷淡...

友だち以上でないと…

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」㉘〜

友だち以上でないと… 「どうしてこんなことに。いい友だちになれたのに」とシーバ。バーバラがポツン、「友だち以上でないと…」シーバは15歳の少年と情事に走るという、常軌を逸した行動を罪の意識もなく、平気でとっています。今まで真面目な母親と妻をやってきたからそれくらい許されると考えた。そんな理由のない特権意識がシ...

毎週、会いに行くわ

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」㉗〜

毎週、会いに行くわ つかみあいの大げんかのあと、どっちも冷静になる。シーバはポツンと「あなたのおかげで2年の刑かも…」バーバラの返事がサイコーです。「すぐ過ぎるわ。毎週会いに行くわ。この先ずっと一緒よ」(は〜)とシーバ。そういうことじゃないだろ…。(こいつ、全然わかっとらんな)でも、もはや何をいう元気もない。...

私はあなたの望むものを与えた

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」㉖〜

私はあなたの望むものを与えた バーバラは言い返す。「私はあなたの望むものを与えた。結婚からの解放を」「なんですって!」解放してくれとだれが、いつ、あんたに頼んだ。これこそ大きなお世話ではないか。ふたりはテーブルを倒し、家具をはねのけ、つかみ合いの大立ち回りになります。ケイト・ブランシェットはこのシーンが撮了に...

いろいろ書いてあるわね…

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」㉕〜

いろいろ書いてあるわね… バーバラの家はマスコミに取り囲まれている。シーバは蟄居したままで。報道陣をかき分けてバーバラは家に入らねばならない。一瞥して気がついた。部屋という部屋が散乱していた。「シーバ」と呼ぶと、部屋の奥の暗がりに腰掛け、押し殺した声で「私のこと、いろいろ書いてあるわね」ピンセットで拾い上げた...

人生最高の日々だった

〜狂気の沙汰も愛次第「あるスキャンダルの覚え書き」㉔〜

人生最高の日々だった 眠るシーバをバーバラが見つめる。「私にとって人生最高の日々だった。女ふたりが暮すのだ。ケンカもする。だがその緊張はなんと甘美な緊張だろう」バーバラにとって至福の日々はある日破れる。シーバが足の裏に貼りついた金星印を怪訝に思ったのだ。ゴミ箱に丸めてあった紙片を伸ばし、読む。顔色が変わる。バ...