Diversity Studies

マリーナ、申し込みがあったわ

〜「ウェルカム・ヘヴン」(4)〜

マリーナ、申し込みがあったわ   待望の「天国希望者」があった。 部下が嬉々として報告にきた。 「マリーナ、申し込みがあったわ」 「誰?」 「母親よ」 この子を天国に行かせてほしいと、 地上の母親の誰かが祈ったらしい。 「いい知らせだわ」 地獄が横取...

“彼“は疲れ果てたとか

〜「ウェルカム・ヘヴン」(3)〜

“彼“は疲れ果てたとか   天国のスタッフたちは指示を仰ごうと“彼”を探します。 “彼”とか神です。 「どこにもいません。居場所もわかりません」 「彼は疲れはて何もかも嫌になって行方をくらました」 「私たちだけで事態を解決しないと」 無責任な神に頼っておれないと腹を決...

憂慮すべき状況です

〜「ウェルカム・ヘヴン」(2)〜

憂慮すべき状況です   発想がユニークです。 舞台は天国と地上と地獄。 天国の作戦本部長、マリーナはゆううつだ。 地上で犯罪が増え天国に昇ってくる魂が激減、 過疎化が止まらない。 部下が報告する。「憂慮すべき状況です。 このままでは私たちは戦いに負け、悪が勝利を...

勝てないのになんで戦うのさ

〜「ウェルカム・ヘヴン」(1)〜

勝てないのになんで戦うのさ   ペネロペ・クルスの振り向いたアップで始まります。 長い黒髪、力のある目、高すぎもせず低くもない形のいい鼻、 ちょっとめくれた唇がエロチックですが下品ではありません。 対して相方のビクトリア・アプリル。 小さな顔にブロンド。痩せていても筋肉質のペネロペとちがい...

どうか体に気をつけて

〜「シスタースマイル」(30)〜

どうか体に気をつけて   シスターはでも彼女なりにジャニーヌを認めていたのです。 「行くあては? 考え直しては? どうか体に気をつけて」。 ジャニーヌはガバッとシスターをハグします。 修道院ではみだりに体に触れることはご法度。握手もしません。 それを「ガバッ」ですから...

貴方はプレスリーではありません

〜「シスタースマイル」(29)〜

貴方はプレスリーではありません   「人前で歌いたい」ジャニーヌの夢は案の定暗礁に乗り上げた。 「あなたは修道女です。プレスリーではありません。 コンサートなど論外です」 「若者を教会に導くためです。 アフリカ? 行くのは諦めてここに残ります。歌う方が大事です」 ジャ...

ナンバー1になった感想は?

〜「シスタースマイル」(28)〜

ナンバー1になった感想は?   1964年12月。 アメリカのメディアが取材に来た。 「はるばる太平洋を渡りました。ここベルギーの片田舎に スタジオを設置。400万人の視聴者に届けます」 インタビュアーがジャニーヌに訊く。 「世界でNo.1になった感想は?」 「...

お祝いを言いにきたよ

〜「シスタースマイル」(27)〜

お祝いを言いにきたよ   両親が修道院を訪ねた。 父親はやさしく言う。 「遅くなったが、お祝いを言いに来たよ」 シスターは特別な計らいで親子だけの席を設けてくれた。 「うまいか?」 箱を開けると「ドミニク」と文字を入れたケーキがあった。 「今のうちの人気商品よ」...

噂がたっている、俗人みたいだと

〜「シスタースマイル」(26)〜

噂がたっている、俗人みたいだと   ジャニーヌはシンガー・ソング・ライターです。 部屋で譜面を書き、歌詞を考える。 行き詰まったからクリスティーヌに訊いた。 「聴いて。メロディがいまひとつなの」 何小節か弾いてきかせ「感想は?」 「別にない。ジャニーヌ、コンゴに行くな...

時代遅れでは?

〜「シスタースマイル」(25)〜

時代遅れでは?   女性記者がインタビューに来た。 「女性は子供を産むだけの存在だと教会は教えています。 女性も性を楽しむ権利があるのではありませんか?」 あるいは「神を讃えて歌っているドミニクは 素朴すぎませんか。あなたの歌は時代遅れではありませんか」 ジャニーヌは...