百万の言葉より感情を語る
ターが生家に来た。ニューヨークの下町の普通の家だ。
暗くて狭い2階建て。
裕福でない家に生まれ、刻苦精励して今に至った。
学生時代の思い出の品々。メダル、記念品。
師バーンスタインの録画を再生する。
彼は語りかけてきた。
「音楽の意味がわかったね。人が抱く特別で深い感情は
言葉では言い表せず、名付けられない時もある。
だが音楽は凄い。言い表せない感情に言葉の代わりに
音符で名付けてくれる。その動きは百万の言葉より感情を語る」
ターは泣いていた。
〜「TAR ター」〜