思ってもいませんでした
懸案になっていた「5番」と組み合わせる曲をターが発表する。
「エルガーのチェロ協奏曲よ」
続いて「チェロ奏者は同じ団員の中から選ぶ」
これは拍手で迎えられた。
外部から名のある奏者を招かず、仲間から選ぶチョイスが
団員から好感を以って受け入れられました。
ところがそのあと。
ソロ奏者はオーディションで決めるという。
誰が考えても花形のソロは首席チェロ奏者のゴーシュだ。
ゴーシュは「思ってもいませんでした」とだけ言い
「でも反対はしません」と消極的同意を示します。
ターが指揮台から降りるのを待って、
団員は想定外のターの指示に肩をすくめる。
足並みを揃えていた団員間にかすかな不協和音が…
〜「TAR ター」〜