キャシー、前に進んで
「キャシー、何しにきたの?」とニーナの母親が訊いた。
「あなたに会いに」
キャシーはニーナと双子の姉妹のように育った。
母親にしたら娘の分身だった。
ニーナを失ったキャシーの、心の傷が手に取るようにわかる。
でも…だから、と言うべきか
「もうやめて」と頼む。
「一緒にいなかったことで、自分を責めないで」
「正したいの」
「子供じみた執着だわ」
「私が一緒にさえいれば」
「もういいの。私も辛いけど、キャシー、前に進んで」
キャシの心は7年前から空洞だ。
ニーナがいないむなしさを、誰も、何も埋められない。
〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」〜