彼を私の最後の客にするわ
エレーヌの夫ポールが追ってきました。空港に来ています。
「私を探しにきたのだわ」
母親に冷たく、妻を無視して家事の道具みたいに扱う男。
ノエミの目が底光りする。
「彼を私の最後の客にして、骨抜きにしてやるわ」
「彼はダメ。私にも誰にも無関心な男よ。
感情を忘れた石か木みたいな人よ」
触らぬ神に祟りなし、とエレーヌはいうのですが
ノエミは勘弁できない。「やるわ」と一言。
獲物を狙うヒョウみたいに、スルスルとポールに近づいた。
〜「女はみんな生きている」〜