仕返ししてやったわ
エレーヌが洗濯室に出たすきに男が2人きた。
「ここにいたのか」
言葉は言えないが、女の顔が恐怖に引き攣った。
「爺さんの委任状にサインしな」
無理やり指を動かせようとしているところへ看護師が。
「この病室は許可なく入れません」
男たちは出て行った。
戻ったエレーヌは女の表情を見て事態を察知した。
「奴らがきたのね」
言うなりあとを追った。
院外の工事現場付近に見覚えのある若い男がいた。
そばにあった板を手に後ろから近づくとガツン!
思い切り後頭部に振り下ろした。男は気絶。
エレーヌは男にシートをかぶせ病室に戻った。
「仕返ししてやったわ。二度と来させないから心配しないで」
頼もしい。これが夫に口答えひとつしなかったエレーヌか。
でも何をしようというのか。
〜「女はみんな生きている」〜