なぜ昨夜ここへ来たの?
アンニャはその夜、テルマの部屋に泊まりました。
テルマは隣に眠るアンニャを見つめ、背中に寄り添います。
何も起こりませんでしたけど。
朝。「なぜ昨夜はここへ来たの?」テルマが訊く。
「メール、くれたでしょ」「送ってない」「ホントだ」
アンニャが帰ったあと、
ベッドに落ちていた細い黒い、長い髪にテルマは触れる。
アンニャを引き寄せた?
その力は喜びか不安か、なにを与えるのか。
誰も教えてくれない未知の能力に圧迫を覚える。
アンニャといるときだけ安心できた。
アンニャとは、テルマが自分自身であろうとする自由の分身、
テルマの半身です。
〜「テルマ」〜