(出た、黒い蛇が)

 

(出た、黒い蛇が)

 

アンニャが見ている。身をそらすテルマに黒い蛇が上っていく。

胸から首へ、首に巻きつき、鎌首をもたげ

テルマの口からゆっくり体内に入っていく。

「ねえ、起きて」一緒に来た女子がテルマをゆすぶり、

「ただのタバコよ。悪い冗談よ」とそばの男子たちをギロッ。

テルマは我に返ります。

(出た、黒い蛇が)自分の恋情が、狂おしいまでにわかる。

 

 

〜「テルマ」〜

 

 

bn_charm