児童相談所です
「トモさんが暮らす環境として、好ましくないという通報がありました」
児童相談所の担当者がぞろぞろやってきました。
「叔父の僕が預かっています」というマキオの説明より、担当者の視線は
リンコに注がれる。通報したのはトモの同級生カイの母親でしょう。
「好ましくない環境」とは何を指して言うのか、彼らもさすがに
リンコがトランスだからと口に出しませんが、視線そのものが失礼なのです。
本棚の書籍には文学書、部屋はきちんと整頓され、トモは清潔な衣類を着て、
どこを探しても傷や虐待のあとはありません。
不安にかられ、抱き合っているトモとリンコを見て、それ以上言う言葉もなく
児童相談所は「異常なし」として引き上げます。