早く脱いで
メリッサの夫に対してビリティスは他人行儀な態度を崩さない。
「ご主人はお出かけ?」
「ピエールでいいわよ。そうよ。いないわ」
「よかった。静かに過ごせそう」
メリッサは苦笑し海に行こうという。
「早く脱いで。ひどい水着ね。私のをあげる」
ビリティスは学校の制服と同じ、紺色のダサい水着で泳ぐ。
サントロペの海のシーンがまた美しい。
メリッサの結婚生活は孤独だった。
長身のメリッサが小柄なビリティスを、子供のように泳がせる。
夫の前では無表情なメリッサが、
笑顔になるのをビリティスは敏感に感じ取っています。