「 ……… 」

「 ……… 」

ポリニャック夫人の寝所にシドニーが来た。

前後不覚に眠る、全裸の夫人を見る沈黙のシーンです。

シドニーは無表情に夫人を見下ろし、静かに夜具をはがしていく。

王妃の愛撫した女の身体がそこにある。

夫人が寝返りを打つ。ろうそくの明かりの下にヘアの丘。

この女の代わりに自分がいることは、許されてはいけなかったのか。

官能の「if」が、一瞬、シドニーを衝き動かします。

 

(「マリー・アントワネットに別れをつげて」)

 

 

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