Diversity Studies

乗客がまだ来ないのだ

〜モーリス㉒〜

乗客がまだ来ないのだ サウスサンプトン港にモーリスは見送りにきます。出港前の船にスカダーの家族はもう乗り込んでいます。粗野な言葉遣い、貧しい身なり、モーリスは、ホテルでの一夜は悪夢だったように思える。これらの人々とともに哀れなスカダーは南米に行くのだ。しかしスカダーはいない。「乗客がまだ来ないのだ」と乗船係...

行くな。

〜モーリス㉑〜

行くな。 「じゃ、俺は行くよ」とスカダー。「行くな」とモーリス。「気は確かか」「巡り会えたことが奇跡だ」モーリスは情熱のとりこですがスカダーは冷静です。「君のお袋さんはなんというかな。金と地位を捨てるのか」「平気さ。君がいれば金や他人は必要ない。地位がなんだ。僕らには頭と丈夫な体がある」「夢だよ。モーリス。...
火

「5シリングでは不足か」

〜モーリス⑳〜

「5シリングでは不足か」 屋敷の女主人は「18ヶ月いる俺の名も覚えない。あんたは俺に、チップが5シリングでは不足かと言った。そんな奴ばかりだ。でも初めて見たときから、あんたが欲しかった。だから耐えられたんだ」スカダーは服を着ながら言います。モーリスは押し切られ、泊まりました。スカダーと離れられなくなった。そ...

今夜俺と泊まってくれ

〜モーリス⑲〜

今夜俺と泊まってくれ スカバーはイギリスを離れて南米に行くのです。二度と会えない。だから英国を離れる前に会ってくれと頼んでいます。モーリスには彼の必死な気持ちがまだわからない。貧しいから金をせびる気だとくらいに思っています。「俺は指一本傷つけない。ビタ一文、もらうつもりはない」ただ「今夜俺と泊まってくれ」モ...

俺が恥ずかしいか、迷惑なのか

〜モーリス⑱〜

俺が恥ずかしいか、迷惑なのか 「知っているぜ。ご主人とのことは」ご主人とはクライヴのこと。スカバーは身分の低い若者ですが卑屈ではない。おどおどしているモーリスに我慢ならない。「俺が恥ずかしいのか。迷惑なのか。俺をもてあそんだだけか。このままにはしないぞ。決着はつけてもらうよ。楽しんだ代金は払うんだな」モーリ...

英国を去る前にもう一度

〜モーリス⑰〜

英国を去る前にもう一度 スカバー一家が南米に移住することになり、英国を去る前にもう一度会いたいとスカバーがいってきたのです。モーリスは医師にこういう。「実は猟番と罪を犯したのです。頭のいいやつです。脅迫されるかもしれません。そいつからの手紙がこれです」手紙を見せる。「なぜあいつにわかったのか、心の隙が」つぶ...

英国は人間の本性を否定してきた

〜モーリス⑯〜

英国は人間の本性を否定してきた 再度ジョーンズ医師をモーリスが訪ねます。「昔なら死刑になっていた。どこか外国にいって暮らすんだな。フランスか、イタリアか。同性愛が罪とされぬ国で。英国は昔から人間の本性を否定してきた国だ」つまり、彼は同性愛が病気ではなく否定されているだけという捉え方をしています。モーリスは救...

俺を呼んだだろ

〜モーリス⑮〜

俺を呼んだだろ 悶々と眠れない夜を過ごすモーリスの部屋に、猟番のスカバーが窓から入ってきます。驚くモーリスに「俺を呼んだだろ。聞こえたんだ」テレパシーなのでしょうか。スカパーはためらいも見せず「何も考えないで。横になって」モーリスは長いあいだ妄想していた世界を実際に体験します。月明かりか、星明かりか、薄闇の...

母のところに帰りたい

〜モーリス⑭〜

母のところに帰りたい モーリスはジョーンズ医師(ベン・キングスレー)の診察を受けます。ベン・キングスレーという人、ガンジーにもなればインド人の運転手にもなる七変化の人。催眠療法でモーリスを眠らせます。モーリスは彼を信頼できるらしく、素直に催眠に従います。美人が現れたり、知らない部屋で絵を見たり、と思うと「母...
火

忘れよう

〜モーリス⑬〜

忘れよう モーリスが内面の葛藤を書いている。「体が発育した頃から淫らな想像をした。僕は呪われている」大学では勉強と、厳しいスポーツを課したが、妄想は去らない。医師に相談したが「汚らわしい」と言われ、「若い娘と付き合えば治る」と。モーリスには自分の性向が一時的な現象ではなく、自分自身のもっと深いところから発し...