お母さんから君に話せないことだ
BLの傑作「モーリス」。
冒頭の海岸風景が美しい。先生が卒業を控えたモーリスに話しかける。
「お母さんから話せないことを言っておこう。君の体はこれから変化していく。
つまりセックスの話だ。この世の生物はすべて生殖行為を行う。
君のメムブラム・ビリリスが大人になると大きくなる」
メムブラム・ビリリスは男性自身、ラテン語です。
「モーリス」は原作者E.M.フォースターが1931年に執筆、彼の死後1971年に
発表されました。価値観の違うふたり、あるいは階級差のあるふたりの愛の相克は
フォースターのテーマです。彼自身ゲイであることに悩みました。
セックスの表現に厳しいシバリのあった時代、同性愛は犯罪でした。
思春期の少年に体の変化を説明するにも、先生はラテン語を使います。
互いに惹かれあいながら別々の人生を選んだ男たちが、
モーリス(ジェームズ・ウィルビー)とクライヴ(ヒュー・グラント)です。
金髪碧眼のウィルビーと、若き日のヒューさまという、美形ふたりがまず絵になります。